街中の屋外やスーパーなどの店内、駅・停留場や電車・バスの中などの交通機関、公共の場などのさまざまな場所に設置されるようになったデジタルサイネージですが、現在は主に広告での利用が進められています。プロジェクターやディスプレイ・タブレット端末などの電子機器を使用した広告は、動きのあるコンテンツが表示され、静止画とは比較できない程の宣伝効果を生み出します。さらには、複数のディスプレイに表示または連動させるなどの新しい広告手法が現れ、複数機器による宣伝・訴求効果の高い相乗的な広告も登場しました。このように、従来とは大きく異なる手法が取れる新たな広告は、その潜在能力に無限の可能性が秘められています。
しかしデジタルサイネージは、実は広告だけが利用目的ではなく、情報発信や共有するためのシステムとして誕生しました。電子映像機器を使用した情報伝達媒体であるデジタルサイネージは、大型商業施設の店舗案内や工場・オフィスでの掲示板、展示会場への経路案内などの情報表示での活用が進んでいます。また映像による伝達媒体のため、より多くの情報を手軽にタイムリーに発信ができ、かつ離れた拠点同士でのリアルタイムな情報共有が可能です。例えば飲食店なら、朝はモーニング・昼はランチ・夜はディナーのメニューと、時間帯や対象に合わせたコンテンツの配信が可能であり、最近では災害情報をタイムリーに配信する手段としても注目されています。
災害の多い日本において、防災・減災支援のツールとして大いに期待が高まります。このように、配信するコンテンツの自由度が高いデジタルサイネージは、単に紙媒体をデジタルに変換する媒体ではなく、利便性と即時性の高い情報を提供するシステムになります。さまざまな用途へと広がりを見せるこのシステムは、これからの新しい情報伝達の手段として欠く事ができないツールとなる事でしょう。